研2.みつけた研究テーマをブラッシュアップ

さまよう薬剤師

病院薬剤師 13年、保険薬局2年を経験。
がん薬物療法認定薬剤師、医療薬学専門薬剤師の認定を取得。
筆頭論文は邦文で4報、学会発表は10回報告済。
研究や転職についてわかりやすい記事を書いていきたいと思います。なにかあればご連絡ください!

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ショージ君
ショージ君

研究テーマをふるいにかけて、良さそうなのを見つけました!
さっそく、調査開始だ!

さまよう薬剤師
さまよう薬剤師

ちょっとまって!
ふるいにかけた後は、洗練させる必要があるよ!

「1. 研究テーマをみつける」で、集めたテーマを文献検索して、ふるいにかける(新規性の確認、違う視点での研究実現性)必要があるとお話しました

この文献検索をするときに、テーマに対して明らかになっていること、不明なことをしっかり把握しておきましょう!また、検索した文献はまとめて保管しておきます!
学会発表や論文投稿の、緒言や考察・引用文献を記載する際に役立つからです

さて、ふるいにかけた(新規性のある)テーマが、実際に研究していくことが可能か判断する必要があります。

まずはPECO(またはPICO)で、研究を具体化します
次に、FINER または FIRM2NESSを用いて計画の肉付けをしていきます

PECO(またはPICO)とは、研究内容を明確化するためのツールです
Patient, Exposure, Comparison, Outcomeの頭文字をとっています

PECO / PICOの意味は?

Patient:どんな対象者に
選んだ研究テーマに適合する対象者、逆に除外する対象者を検討します
できるだけ、対象者の条件を絞っていきます

例えば、「高血圧の患者さん」だけに設定しないようにしましょう
さらに条件を絞るとすると、①血圧が高くなっていく40歳以上の男女を対象(対象にする条件)とし、②腎不全や脳疾患の既往がなく(あれば対象より除外する条件)、③薬の効果が安定する6ヶ月以上の期間を継続内服(対象にする条件)している患者さん…

というように、「対象にする条件」「除外する条件」を検討していきます

Exposure / Intervention:どんな要因/介入があると
観察研究ではExposure(暴露・要因)
介入研究ではIntervention(介入)と異なります

観察研究:Exposure
 ●研究を意図した介入がなく、あるがままの経過を調査する研究です
 例)副作用が出たA群と、副作用が出なかったB群で比較する

介入研究:Intervention
 ●研究を意図した介入があり、その結果を調査する研究です
 例)新しい指導方法を実施したA群と、指導のないB群を比較する

Comparison:なにと比較して

本当に効果があったのか検証するために、比較する群も必要です
例えば、薬Xを服用したA群と、薬Xを服用していないB群の下痢発生率を比較する

何と何を比較するのか明確に決めます

Outcome:どのような結果になるか

研究テーマから、メインとなる結果(主要評価項目)を予想します
また、2~3つ目の結果(副次評価項目)も検討します

●主要評価項目(Primary Endpoint/一次エンドポイント)
 その研究で最も明らかにしたい、主張したい項目
 通常、ひとつだけ設定される

●副次評価項目(secondary Endpoint/二次エンドポイント)
 主要評価項目を補足したり、関連する別の項目
 通常、複数(2~3つ)が設定される

PECO / PICOの例

具体例をみていきましょう

研究テーマ:降圧薬Aと降圧薬Bは、Bの効果が高い気がする

Patient:高血圧の患者(40歳以上、腎機能正常者、半年以上を内服した症例)
Exposure:降圧薬A、降圧薬Bのいずれか(併用は除外)
Comparison:降圧薬Aと降圧薬Bの血圧低下幅を比較する
Outcome:降圧薬Bは血圧低下幅が大きい(主要評価項目)

これで、研究の根幹は具体化されました

PECO / PICOで研究内容を具体化しました
次は、FINERまたはFIRM2NESSで洗練していきます

FINERとFIRM2NESS

ツールが2種類あります
FINERは、研究テーマをより洗練させるチェック項目です
FIRM2NESSは、FINERにチェック項目を追加したものです

どちらを使用しても構いません
個人的には、FINERでチェックすることが多いです

【FINER】

【FIRM2NESS】

・積極的に指導者や研究仲間に確認してもらう
 →ミス防止や偏った考えを修正してもらえる

・倫理委員会に提出して承認をもらう
 →病院勤務であれば院内の委員会に提出
  クリニックや保険薬局勤務では、外部(薬剤師会、学会など)に申請も可能です

まとめ
  • PECO / PICOで具体化する
  • FINER / FIRM2NESSでチェックする
  • 指導者や研究仲間に確認してもらう(ミス防止、偏った考えの修正)

参考文献

  1. 片岡裕貴,青木拓也. 実例から学ぶ!臨床研究は「できない」が「できる!」に変わる本 (羊土社, 2021)
  2. 辻本哲郎. これで解決!みんなの臨床研究・論文作成 (医学書院, 2021)
  3. 福原俊一. 臨床研究の道標 第2版(認定NPO法人 健康医療評価研究機構, 2017)

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